減税シリーズ③ ~国がやらなきゃ地方がやる!

税金問題

地域全体としてお金の流れを考える

以前、この場でGPR(域内総生産)について触れたことがありましたが、総じて言えば、その地域全体に流れるお金の量によって経済動向は決まると言っても過言ではありません。お金はまさに血管を流れる血液ですので、右から左、左から右へと、円滑に循環することによって、経済は回っていきます。

一部の人だけにお金が集まりすぎて、他の人達に行き渡らなかったらどうなるでしょう。
あたかも血が体の一部にしか通わなかったら、他の部位がしびれて動かなくなるように、社会も動かなくなってしまいます。
そこで、お金を行き渡らせる1つの手法として用いられたのが税金です。お金を多く持っている人から徴収して、そうでない人に回す。

直接的に配るというより(※給付や生活保護という形はあるが・・・)、誰しも生きていく上で不可欠なサービスに税金を使うのが本来の姿と言えましょう。ですから、その減税によって税金が減れば、従来のサービスを維持するため、別な形のお金を充てていくしかありません。
そこで活用すべきは民間資金と言われるものです。

官民連携方式(PPP)の採用とPFIの導入

官民連携方式(PPP)とは、行政である「官」と、法人や個人である「民」とが連携して、公共サービスの提供や公共施設の建設・整備を行う枠組みの総称を示す言葉です。
今では様々な形態が採用されており、

①公共施設の運営や業務の一部を民間に委託する方式を筆頭に、
②指定管理者制度といって、公共施設の管理運営を民間に任せる制度や、後述する
③PFI制度、あるいは
④コンセッション方式、

そして公共施設を民間が整備して、行政が賃借する形の
⑤リース方式などが挙げられます。

PPPの典型的な形態は、何と言ってもPFIでしょう。
PFIは、民間が施設整備のために資金を調達し、設計~建設~維持管理~運営までを一貫して担う手法です。
わが国では1999年に「PFI法」が施行され、積極的な導入が進んでおります。

なお、PFIをさらに分類しますと、

①BTO方式
②BOT方式
③BOO方式
④DBO方式

そして
⑤コンセッション方式などが挙げられます。
ただ、⑤は「既存施設を前提に運営権のみ」を民間に任せるという方式ですので、「施設の整備・所有・運営」の一体的なパッケージであることが多いPFIからして見れば、⑤は別にして取り扱うべきと言えるかも知れません。

PFIの分類と活用方法について

前述した①~④の頭文字について、ちょっと詳しく説明しますと、
①は民間事業者が施設の設計および建設した後、その所有権を行政に渡しつつ、民間が一定期間にわたって運営する方式です。
施設の所有権は行政にあり、運営権は民間にあります。

②は民間事業者が施設を設計および建設し一定期間運営した後、所有権を行政に移転する方式です。
したがって民間は、運営する期間内での使用料や利用者料金などで、投じた資金を回収することになります。

③は民間事業者が施設を建設および所有し、恒久的に運営する方式です。
これは行政側として所有権を持たず、民間による完全所有が認められます。

④は施設の設計・建設・運営を一体的に民間事業者に委託する方式です。
資金調達は行政が行いますので所有権は常に行政側にあり、運営は一定期間民間に担わせます。

公共施設の建設および運営する際に民間資金を活用(税金不足の対策として)するとなれば、②の方式を採用するのがベターでしょう。
ご案内の通り、②は民間事業者が施設の設計・建設・運営を一括で担い、その費用も自ら調達しつつ、一定期間の運営で投資回収を行い、その後に施設を行政に移管する方式です。したがって、自治体は初期投資ゼロで事業をスタートすることができ、一方、民間事業者に運営収益のインセンティブが働きますので、長期契約で安定運営が可能となります。

コンセッション方式のメリットと活用について

前述した通り、一般的なPFIとはちょっと形態が異なった方式です。
コンセッションとは「公共施設の運営権」を指し、行政が資産を保有しつつ(所有権を持ちつつ)、その運営権は民間に譲渡するものです。
通常、公共施設の維持および更新には多額の税金が必要となりますが、コンセッション方式を採用すれば、必要な改修や設備投資を民間が担うため、その都度の公的支出を抑えることが出来ます。

リース型PFIのメリットと活用について

以上、色々な形態のPFIを提示してきましたが、昨今最も脚光を浴びているのが、リース型PFIでしょう。
これは、民間事業者が公共施設を建設および整備し、その施設を行政がリース契約に基づいて長期使用する方式です。
通常のPFIとの違いは、財産の所有権につき、事業期間中は民間が所有しているということ。行政はあくまで「借りる」立場にあります。

当方式の最大の利点は、行政側としての初期投資負担が原則ゼロである点です。
したがって、行政は事業期間中に一定額をリース料として支払うので、歳出の平準化を図ることが出来ます。
ただ一見、初期費用がないことは魅力的ですが、長期的にはリース料の総額が、通常の整備費を上回る場合がありますので、採用する際には総費用を明確にしつつ、長期的な視点での費用と便益の分析が必要です。

藤沢市に導入することを想定すると・・・

PFIという形で、民間の資金やノウハウを行政に採り入れることは良いことづくめに思えるでしょう。
確かに、藤沢市内でも老朽化の進んでいるスポーツ施設や文化施設が散見されますし、今後の政策次第では、給食センターの再構築やゴミ処理施設の高効率化や脱炭素化が求められる可能性があります。
また、再開発などで市有地を提供した場合、外来向けの医療モールや創業支援のためのインキュベーション施設の建設・整備も選択肢に入ると思われます。

ただここで行政サイドが留意しなければならないのが、あくまで利益追求を旨とする民間との間合いではないでしょうか。
長期契約になればなるほど、
①環境の変化に耐えられるような制度設計なのか、
②行政と民間との責任分担が明確なのか、
③コスト削減のみならずサービスの質が一定以上維持できるのか等々、

それらの留意点をしっかり把握した上で、官民連携を図ることが不可欠であることは言うまでもありません。

元衆議院・参議院議員:水戸 まさし

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