扶養制度と社会保険制度の抜本的な見直しが必要
◆ 年収の整って何?
現状、パートで働く主などの短時間労働者が、一定以上の水準を超えて労働時間を増やすと、税金や社会保険料を自己負担しなければならなくなり、逆に手取りの収入が減ります。
だからそれを避けるために、労働時間を調整せざるを得なくなり、それが却って人手不足問題を深刻にさせ、女性の活躍を妨げてしまうという問題が、「年収の壁」と言われております。
通常、年間の収入が103万円になると所得税が発生し、106万円になる(従業員100人以下の場合は130万円)と社会保険料が発生します。また150万円になると配偶者
特別控除が張り始めます。(下図参照)
◆ 年間収入の上限調整が解決方法?
税金や社会保険料が発生する年収の水準を上げれば良いのでは…そうすることでパートの労働時間を増やせるという意見があります。1つの選択肢でしょうが、他方で社会保険料が減り、厚生年金や健康保険の財政悪
10:09 須山 登 化を促してしまう※念が出てきます。
逆に、扶養扱いをやめ年収の水準を撤廃し、全てのパートにも社会保険に加入してもらう意見。年収の壁が無くなれば、誰しも社会保険料の負担を強いられますが、働く意欲があれば労働時間を増やすことで手取り収入を増やすことは可能です。
◆ 自営業者や専業主婦との公平性
ただしこの場合、「第3号夜保険者」として社会保険料を納付していない専業主・との関係や、そもそも自営業者らの国民年金との公平性の問題が出てきます。
また厚生年金の保険料は報酬に連動します。したがって月給が少ない人でも、国民年金の保険料よりも明らかに少ない負担で、報酬比例年金まで得られる事になり、不公平感が増します。
◆ 制度の抜本的な改革が必要
「年収の壁」問題を解決するには、保険料を納めた人が給付を得られるという基本原則を守りつつ、かつ国民
年金との矛盾を生じさせない制度改革が不可欠だと思います。
某シンクタンクは、基礎年金を税方式でまかなうことを提案しております。
税金で全額を給付する年金と、保険料負担に応じた報酬比例年金の2階建てで構成するカナダ方式を採用する案です。
いずれにしても、税金と社会保険料との負担割合をどうすべきなのか…・・。
この根本的な問題を直視して、抜本的に見直していかねばなりません。