トランプ米国大統領の相互関税
去る4月2日、トランプ大統領がホワイトハウスの庭先にて、意気揚々と述べたことが世界を震撼させています。
いわゆる相互関税というものですが、そもそもこの関税って何のためにあるのでしょうか。
簡単に申せば、海外から入ってくる品に税金を上乗せする(関税を課す)ことによる、
①国の税収増と、②国内産業の保護、という目的で行われます。
その仕組みは結構複雑でして、例えば日本に輸入される米や麦などの場合は、一定量以内ですと関税率ゼロですが、それを超えると従量税のように㎏当たり~円、という形で課されます。
率に換算するとコメは280%程度と言われておりますが、その他、チーズは30%、肉類は24%、牛肉に至っては26~50%程度の関税が掛けられていることになります。
しかし農産品全体を見た場合、その平均値はOECD(経済協力開発機構)データでも分かる通り、我が国の関税率は11.7%でして、EUの20%に比べても低い数値に留まっているのです。
したがって前述したように、関税による国際産業の保護、いわゆる国内の自給率をどの程度まで維持できるか、その門番的な役割をこの制度が担っていると言えるでしょう。
そんな意味からでしょうか、トランプ大統領は自国産業、とりわけアメリカの製造業を復活させるために、外国から搾取され続けてきた過去を清算させ、自国ファーストの社会を実現するんだと息巻きます。
ただ彼の短絡的な思考回路がどこでどれだけショートしているのか、時代錯誤も甚だしいと言っても差し支えないと思われます。
自給率の確保のための食料シーレーン
ロシアによるウクライナ侵略の際には小麦や肥料などが高騰し、様々な食材の価格上昇として家庭生活に影響をもたらしました。これはロシアが黒海に機雷を置き、穀物輸送をストップさせたことによって、世界の食料供給にダメージを与えたことが一因です。
ところでトランプ大統領は我々を守ってくれるか・・・?
これは日本以上に、お隣の台湾が抱える切実な思い、不安感です。
もちろん台湾有事は即、食料自給率の低い日本にとっても死活問題となります。
と言うのも、日本はアメリカはじめ中国や豪州、そして東南アジア諸国から農水産品を輸入しなければやっていけない国ですので、日々、海上輸送ルート(シーレーン)をしっかり設定しております。
現時点では主に3つのルートがあって、とりわけ豪州へ向かう「南ルート」およびインド洋へ抜ける「西ルート」は、台湾有事の際には大きな影響を受けることになるでしょう。
当然、農産物全体の10%を占める中国からの輸入もストップするでしょうし、近海が海上封鎖となれば、ルートを迂回して日本に物資を届けることになります。
また物資が届いたとしても、価格が跳ね上がるのは必至だと思われます。
これは食品のみならず、肥料や農薬についても同様なことが言えるので、先ずは備蓄の拡充と輸入先の分散化はよりスピードを上げて進めていかなければなりません。
トランプ大統領がその地位にいるであろう4年間、何が起こっても不思議ではない現実を我々は目の当たりにしているのです。
元衆議院議員・元参議院議員:水戸まさし