減税による波及効果
減税には大きく分けて、それが個人向けなのか、あるいは法人向けなのかということに分類されます。
個人向けならば、減税によって
②消費の拡大につながり、
③企業の売り上げ増および雇用の拡大となって、ひいては
④地域経済の活性化をもたらします。
また、法人向けでしたら、
②設備投資を増やしたり、さらに
③給料アップに繋がり、ひいては
④生産性が向上し、雇用を創出することとなります。
いずれにしても、最終的には景気刺激策が税収が自然に増えていく効果をもたらすことになり得るでしょう。

減税によるデメリットは何か
減税が日本全体にとっても、あるいは地域にとってもプラス効果が期待されるならば積極的に導入すべきでしょうが、やはりここにも、思う通りに事が運ばない要因が見え隠れします。
先ず、減税することによって中短期的に歳入が減り、財政赤字や行政サービスの低下を招く危険性があることです。
そして、減税が高所得者層に有利になると格差の拡大を招きかねません。
また、そもそも減税で手元に残ったお金が貯蓄や海外投資に回れば、域内の経済波及に繋がらないといった懸念もあります。
さらに財源の穴埋めを、極端な補助金や人件費のカットに頼れば、行政内外に不満や不安が広がっていくことになります。
減税による経済活性化が、結果的に税収増につながる?
減税の可否を論ずるときに、この議論は必ず出ると言っても過言ではありません。
楽観論者は「ラッファーカーブ理論」を持ち出し、税率が0%と100%の場合は税収はゼロだが、その中間に「税収最大点」が必ず存在するので、税率をその最大点まで下げれば自ずと税収増になると唱えます。
しかし、過去の例からして、減税による経済成長を果たすことが出来ても、減税分を完全にカバーできることはほぼ無いのが実情です。

減税を行う際に気を付けること
往々にして減税政策は的確に設計すれば波及効果をもたらすもので。
しかし過去の失敗例が表している通り、「減税すれば成長する」という単純なロジックは通用しません。
仮に、国レベルのみならず、藤沢市のような自治体レベルで導入するならば、慎重な試算と段階的かつ限定的な減税策も同時に考案していくべきと思われます。
注意点として挙げられるのは、
②減税効果が特定の層だけでなく広く対象に及ぶのか、
③減税による直接的な経済的効果を数値で示せるのか、
④行政サービス低下への不安感を払しょくできるのか、
⑤減税分のお金が地域経済に波及する設計となっているのかetcでしょう。
かつて名古屋市の河村市長時代に、市民税10%削減を実施しました。
これについては賛否両論がありますが、年間約130億円の減収に対して、それを補う明確な戦略が描き切れなかったことや、減税のメリットよりも行政サービス削減の不安感が広がったこと、あるいは経済効果を示し切れなかったこと等が、議会や市民団体との軋轢をもたらしました。
元衆議院・参議院議員:水戸 まさし