上がり続けるお米の値段 さて今年は?
昨年の夏場から秋にかけ、スーパーなどの店頭でお米そのものがなくなり、また値段も高騰したことは記憶に新しいことだと思います。その時、農水省はその原因につき、南海トラフ地震臨時情報を受けた買い込み、台風の頻発化、あるいはインバウンドの増加等々、いろいろ理屈をつけ弁明しておりました。
しかし、もともと米不足懸念は、2023年産米の収穫が終わった直後の一昨年11月から出始めていたのです。
いわゆる需要と供給のミスマッチですが、米不足問題は一過性の問題ではないことを肝に銘じていかなければなりません。
長年に亘る、減反政策(形を変えて今でも続いている)さることながら、流通経路への規制が相俟って、生産現場そのものが衰退していることが最大の原因と思われます。
この構造的な問題(例えば、コメの需給を主食用と非主食用に分けて公表したり、輸入米は主食用にカウントされなかったり、加工用米等への補助金政策によってその流通を規制したりetc)によりコメの用途が拡大せず、かつ生産量を減らして米価を上げることを政策の中心に据えているため、自ずと需要が抑制され市場が縮小し、さらに供給量を絞るという負のスパイラルが続いております。
全国米穀販売事業共済協同組合が昨年6月に公表した「米殻流通2040ビジョン」によると、現状のまま推移すると、2040年にはお米の生産者は20年前に比べて65%減少し30万人程度、そして生産量は363万トンにまで半減するという予測をしました。なお、国内のコメ需要を賄えなくなる年は2033年としております。
こうした事態が目前に迫っているにも拘わらず、なぜ農水省は、水田から畑地にすれば転作助成金を上乗せするといった「畑地化促進事業」などという、米減らし政策を推進しようとするのでしょうか・・・。
何より国の直接補助の下で、コメの価格は市場に任せて、生産者がお米を再生産できる体制整備が必要です。
そして、主食用だろうが加工用だろうが、その需要に応じて流通がなされるよう規制撤廃が求められます。
また実質的な減反政策を廃止することにより米価を下げることを第一とし、それによってやむを得ず遊休地化した農地を「農地中間管理機構」が買い取り、それを農業の新規参入のきっかけにする施策が不可欠と思われます。
こうした一連の改革を断行していかない限り、慢性的に需給がひっ迫して、米不足状態が続き価格は上昇していくでしょう。
2025年は、食料安全保障の観点からも重要な年回りであることを念頭に置き、何より足元から見直すべき年回りにしていていきたいと思います。
水戸 まさし