その本質は「親の差」にあらず、「環境の差」!
子育ては一筋縄ではいかない
子育てが、比較的うまくいっている家庭と、そうではない家庭の違いはどこにあるのでしょう。
昨今、共働き世帯、ないしはひとり親世帯が増加の一途を辿っております。
そんな中考えられるのは、まず子どもとの距離感。
子どもと向き合える時間が取れるか否かです。
第二に、心の余裕の程度。
経済的不安を抱えていたり、孤立していたりすると精神的に落ち着きません。
そして第三に、情報へのアクセス度合い。
支援の制度があっても、
② 相談できない
③ 活用できない
といったジレンマに陥るケースは相当数あります。
つまり両者の相違は総合的に見た場合、親の資質の差というよりも、
② 地域との関り方の差
③ 支援へのアプローチの差
によって生じると言えるのではないでしょうか。
子育て格差を放置すれば、ひいてはそれが将来の社会格差に繋がっていきます。
したがって、先ずこれら3つの視点にスポットを当てることから始めて、格差解消の一助に繋げていきたいと思います。

外から見えにくい家庭環境にタッチ
相談相手のいない親、経済的にも精神的にも余裕のない家庭、こうした状況を抱えていても、外からは見えにくいのが実情です。しかしそれを見過ごすと、子どもの成長に深刻な影響を及ぼしますので、こうした家庭にも出向く仕組みが必要と思われます。
すでに全国的に「乳幼児家庭への戸別訪問事業」が展開されていますが、単発的な支援に留まり、継続性があるとは言えません。そこで提唱するのが「赤ちゃん見守りサポート事業」。
この目的とするのは、単なる訪問ではなく、
② 早期発見
③ 早期介入
というミッションを考慮し、かつ一定の経済支援も織り交ぜようとするものです。
原則、ゼロ歳児のいる全家庭(ひとり親世帯や低所得世帯を重点的に)に対して、紙おむつ、粉ミルク、母親向けの栄養補助食品など、日常的に必要なものを携え、訪問します。
初回は保健師や助産師が、それ以降は地域支援員などが実施し、必要に応じて専門職が再訪問する体制を組みます。
そして出生直後から1歳までの間、2カ月に1度程度の訪問および接触を試みながら、その際の気付きや感想をデータとして記録し、育児に関する他の機関とも情報を共有していきます。
こうする継続的な支援が、親の孤立防止のみならず、虐待やネグレクトの予防にも一定の効果を上げてくれるでしょう。

つながりが生まれる場所「みんなの縁側」
子育て支援には、手当や制度だけではなく、気軽に声を賭けられ、また立ち止まっても良いと思える場所が求められます。
市内にも「縁側事業」という形で地域の居場所作りを行っていますが、ただ残念ながら、
その多くは
② 子育て世代が入りにくく
③ 子ども連れで行く理由も見当たらない
と言われているようです。
既存の施設を最大限活用するために、ここに子育て支援の機能を強化させてはいかがでしょうか。
もちろんこうした「心の居場所」は、自然に足が向く、ふらっと立ち寄れる、居ることで心が落ち着く、という雰囲気を持たせなければなりませんので、支援をするとかされるとか、そんな垣根を取り払う必要があります。
そのためには、わざわざ足を運ぶ場ではなく、買い物ついでや、散歩の途中、子どもの送り迎えの帰りにふらっと寄れる、そんな生活上の動線に組み込むべきでしょう。
そこでは専門職のスタッフのみならず、地域の高齢者、商店主、学生ボランティア、子育て経験者など多様な人たちが関わってくれることで、親子でも色々なイベントや体験が得られる機会となります。

もちろん利用率向上のためには、前述した訪問事業の際に声掛けしたり、おむつやミルクの受け取りの場にしたり、あるいは利用する側に一定の役割を与えて運営に関わってもらったりして、心理的なハードルを下げなければなりません。
なお、「みんなの縁側」「ぬくもり広場」「よりみちリビング」など、ネーミングについても、子育て世代に気軽に考案させてみてはいかがでしょうか。
保育・託児付き健診の波及効果
「各種相談窓口が設置されている、また乳幼児健診などのサービスもある、でもアクセスできない」、そういうケースが散見されます。
何故なら、上の子の世話がある、預け先がない、仕事を休めない等、親自身の抱える事情があるからです。
それを解消する一助として、「保育・託児付き健診事業」を提唱します。
これは健診会場において、一時的な保育・託児機能を併設し、親が安心して健診や相談が受けられる仕組みです。
この取り組みを導入することで、
② 親への健康支援の強化
③ 孤立の予防と発見
などが可能となります。
とりわけ託児によって、親自身に時間と心理的な余裕が生まれ、健康相談のみならず、メンタルケアや栄養指導も受けやすくなります。
特に産後うつや、育児不安の早期発見、早期対応に繋げることができると期待されます。

さらに健診会場おいては、
② 育児
③ 生活
④ 就労
などに関する相談窓口を設置して、その場で受付ができたり、各地域に所在する子育て関連施設やイベントなどの情報を得たり、また同じ時間に集まった親同士が自然と会話を交わせるスペースを持てたり、親の行動領域が広がる場となります。
このように子育て支援とは、「必要な時に、必要な支援が確実に届く仕組み」を作ることに他なりません。
その意味において、この「保育・託児付き健診事業」によって、上記に掲げた短期的な効果のみならず、子どもたちの成長を地域全体で、支える文化の醸成に繋がっていくことになりましょう。

元衆議院・参議院議員:水戸 まさし