誰一人取り残さない地域社会を目指して!
複合的に絡み合った高齢者の生活
同じ地域で暮らしていても、高齢者の生活には大きな差が生じてしまいます。
ある方は、安心して暮らしている一方で、別な方は誰にも頼れず、必要な支援も受けられず、暮らすしかない現実があります。
この格差はなぜ生まれるのでしょうか・・・。
この格差が生じる原因を、
② 孤立
③ 健康
の3つの観点から追っていきたいと思います。
何故なら、
② 外出しないため人と会わない
③ 人と会わないため孤立する
④ 孤立する
ことで健康状態が悪化する、というように同じ市内であっても、住んでいる場所や家族構成、あるいは人とのつながりの有無によって、負のスパイラルに陥るケースは後を絶たないからです。
また、受けられる支援の制度があるにも拘わらず、それを活用できない壁も存在します。
いわゆる「制度との距離感」です。
これが生じてしまうのは、
② 相談相手がいない
③ 手続きが面倒など
行政との連携不足により制度の網からこぼれてしまう高齢者たちです。
コミュニティ交通により移動困難者を救う!
市内でも運転免許を返納した後、外出の機会が著しく減り、通院や買い物に支障をきたしている高齢者が数多くいます。
また、バス路線や公共交通の利便性には地域差があり、特に交通不便エリアでは、その影響が顕著です。
この『交通』格差は、外出機会の減少を通じて、孤独や不健康を助長してしまう「連鎖的な課題」と言えましょう。
そこで当該エリアに対して、コミュニティーバスを補完し、地域の足となれるよう、見守り型の「地域コミュニティ交通」を導入します。
利用は会員として事前登録し、会費は活動を維持するための協力金という形を採ります。
また事前予約制にして、限られた時間帯の中で活用してもらいます。
病院や買い物、集会所など、ちょっとした移動の困りごとに対応できるシステムです。

つながりの有無が第二の人生を決める
家族と同居し、地域との関係も良好な人がいる一方で、誰とも接点を持たず、一人で毎日を過ごしている高齢者も少なくありません。この後者の『孤立』をどう防げば良いのでしょう・・・。
その1つの現実的な解として、「おとな食堂」を提唱します。
これは単なる食事提供の場ではなく、「食」をきっかけとして人が集まり、自然に会話が生れ、つながりが再生される所です。
もちろん栄養バランスの取れた、それも低価格で提供できる食事を通して、地域の中で自然に支え合う仕組みを作ります。
ただ本当に支援が必要な高齢者ほど、外出したがらないのも事実です。
そこで、アウトリーチと言って「こちらから出向く」支援を「おとな食堂」と組み合わせて、訪問や見守り、移動手段の確保も同時に取り扱っていきます。

自分の健康状態を知ることからスタート
超高齢社会と言われて久しいですが、市内においても高齢者の『健康』状態に著しい格差が存在します。
この差は、
② 歯科受診も途絶えている
③ 持病の管理が不十分そして何より、
④ 自分の健康状態を把握できていない
等から生ずるものです。
したがって真っ先に、全高齢者の健康状態を可視化することから始めます。
単なる健康診断ではなく、「身体」「口腔」「認知」「生活」の4位一体的な評価を加えます。
そしてそこから得たデータや知見をもって、個々の最適化された「生活改善支援」策を講じます。
具体的には、栄養指導や運動プログラムの提示、あるいは社会参加への誘導でしょうか。
そして、定期的に個々の「健康プラン」の効果を測定し、また見直しをしながら、必要に応じて見守りセンサーを設置したり、ウェラブル機器を貸与したりして、日常生活の中での健康管理を徹底してもらいます。
こうした「健康プラン」を核とすることが、健康に対する意識向上を促し、ひいては健康長寿を実現する礎となるでしょう。
寄り添う支援には、行政の姿勢が問われる
「プッシュ型行政」という言い方があります。
例えば、介護サービスを利用できていない高齢者をデータから把握して、申請書を送付したり、あるいは給付金を自動的に振り込んだりするというように、行政側が対象者を絞って支援を積極的に届ける仕組みを指します。
またそこで必要となるのは、支援する側が現場に出向いて直接、相手と対話しながら課題を見つける姿勢です。これを「アウトリーチ(前述)」と言いますが、訪問活動や見守り支援などが該当します。
これら2つの手法を重ね合わせること。
まずは行政サイドが支援を要する人を抽出し、その情報のもとに出先の職員や地域の支援員が訪問する。
そして、その生活状況に応じた介護、見守り、移動支援などを組み合わせて提供する。
こうすることが、高齢者格差の解消のカギとなるのではないでしょうか。
そして何より重要なのは、一度きりに終わらせないで、定期的に見守り、変化に気付き、支援をつなぎ続ける仕組みです。
私たちが目指すべきは、まさに「誰1人とも取り残さない社会」ですので、それを実現するためには「待ちの行政」から「届ける行政」への転換を早期に図っていくしかないと思われます。

元衆議院・参議院議員:水戸 まさし