~ 外国人・受入れに対する曖昧さが諸悪の根源!~
実態は移民政策に限りなく近い!
「何のために外国人を受け入れていくの?」
と問われれば、日本政府は「我が国は移民政策を捕ってはいない。労働力不足や国際化の進展に対応するために、一定数の外国人を受け入れている」と答えるでしょう。
確かに深刻とも言える人手不足を背景に、2018年以降、本格的に外国人受け入れを拡大してきました。
入管法の改正で、在留資格である「特定技能」を作り、建設や製造、介護などで海外出身者を雇用する仕組みを整えました。
しかし、特定技能2号の資格を得れば、家族の帯同が認められ、永住申請も可能となりましたので、このことにより実質的な定住外国人が増大しつつあり、実体は移民政策に限りなく近いと言えます。

このままで良いのか?難民申請中の特定活動
今までも国際人道上の見地から、インドシナ諸国はじめ今はウクライナからも難民を受け入れてきた経緯があります。
しかし実際は、難民と認定される外国人はごくわずか(申請数の1%未満)でして、認定を受けるまでの審査機関も長期に亘るケースも散見されます。
そこで申請を行った外国人に対し、結果が出るまでの期間は、日本に滞在することを許可しました。
これが「難民申請中の特定活動」と言われるものです。
通常、特定活動には学術・経済・文化交流など具体的な活動目的があって、例えば研究をしたり、起業したり、インターンシップをしたりすることに分類されます。
しかし「難民申請中の特定活動」だけは特殊で、活動内容が存在せず、日本に留まること自体が活動目的なのです。
したがって、申請結果が出るまで何度も特定活動の申請を繰り返し、これが悪用されるケースも後を絶ちません。
また実際は難民性が無いのにも拘わらず、就労目的で申請する外国人も多くいることが報告されています。
ビザ(査証)と言うのは、あくまで俗称
一般的にビザ(査証)とは、その国に入国するための許可証のことを言います。

法律上は「在留資格」という制度で整理されておりまして、世間でいうビザは、俗称あるいは便宜的な呼び方に過ぎません。
ところで、この在留資格の種類は多岐にわたり、我が国でも30種類以上に分類されます。
大分類として、
※「就労系」
※「留学・研修」
※「家族系」
※「永住系」
※「公務系」
の6系統に整理され、
さらに「就労系」にあっては、
※「専門職・技術職」
※「高度人材・特定制度」
の3ブロックに分けられます。
また、技能実習および特定技能1号は、原則、家族帯同を認めておりませんが、その他の就労資格の多くは家族帯同ビザで一緒に滞在することが可能です。
経営・管理ビザを巡る外国人の違法性
経営・管理ビザは、日本で自分の会社を経営したい、あるいは他社の経営に携わりたい場合の外国人向けの在留資格です。
平成27年より、一般には「資本金(出資金)500万円以上を投じること。
または日本国内で常勤の従業員(原則2名以上)を雇用していること」を基準として運用されてきました。
ところがここ10年で経営・管理ビザを取得した件数、とりわけ中国人は2.8倍に増加し、現在では取得者の約半数が中国人となっている現状どう見るかです。
勿論、中国人だけをターゲットにするわけではありませんが、ここ数年の間、ブローカーによる不正仲介や、ダミー会社・架空の事業計画でビザを取得し、日本に定住せず民泊などで資産運用だけ行うようなケースが続出しています。
例えば、大阪市の雑居ビルなどの1つの部屋に複数社の表札が掲げられ、調べたところ、実際の事業活動もなく、「名前だけの会社」であると判明し、摘発に至りました。
こうした数々の事案をもって、今月から資本金を3千万円以上に引き上げるほか、経営経験や学位の有無、公認会計士など専門家による事業計画の確認も必須としましたが、果たしてどれだけの効果が期待できるでしょう・・・。
該当する外国人オフィスへの現地確認はじめ、税申告や社会保険加入を定期的にチェックするなどの監視強化に努めることはもとより、違反者に対する罰則の強化や、不正取得に介在した者への責任追及をさらに厳罰に処する必要があります。

事実上の移民社会を受容できるのか
現時点で、国は外国人を労働者として見ているものの、他方、自治体からすれば生活者であり地域住民であることに変わりありません。
外国人をどう受け入れていくのかに対して、曖昧な態度に終始していると益々日本人と外国人との軋轢が広がり、トラブルを引き起こす要因となります。
したがって、先ず真っ先に行うべきこととして、労働市場や社会保障、治安への影響を検証しながら、外国人受け入れの総量規制を明確にしていくべきではないでしょうか。
このままやり過ごせば、外国人が加わった場合の社会保障は大きな重荷になるでしょうし、不安定な身分を背景に犯罪行為に走る外国人は後を絶たないと思われます。
喫緊の課題は、何より外国人を入り口で管理し、入国後もしっかりとコントロールできる仕組み作りです。
そして、国と自治体がタグを組み雇用データを把握しながら、毎年、外国人労働者の受け入れ人数を地域ごとに調整する仕組みも必要と思われます。
教育・医療・生活支援などそのほとんどを自治体任せにしている現状、市町村の財政状況は益々ひっ迫していきます。
それを国が放置してしまうなら、国自らが取り返しのつかない代償を払うことになることを肝に銘じなければなりません!

元衆議院・参議院議員:水戸 まさし