相鉄いずみ野線の延伸

調査

相鉄いずみ野線の延伸は可能なのか

藤沢市のHPをアクセスすれば、今までの延伸計画の経緯や現状について「そうなんだ」と何となく分かる部分があります。
市全体を見れば、北西部エリアに存ずる資源をいかに有効活用できるのかが、藤沢の将来性・発展性を考えた場合に、ある意味、最後に残された砦と言えるかも知れません。

ただ、相鉄いずみ野線の延伸計画において、ここで留意すべき点は、2012年の段階で、行政はじめ相鉄や慶応大学を交えて調査研究した「とりまとめ」結果からほとんど進展がないことです。
確かに、市側もかつてから「健康と文化の森」構想に沿って、慶応大学を拠点として様々な事業を展開してきました。
また、今はこの周辺エリアにつき区画整理事業が進展しつつあります。

採算性については極めて低い数値

こうした流れは、先ず周囲の環境を整え、人を引き込めるような魅力づくりに心血を注ごうとする試みですが、肝心の相鉄サイドはこれをどう捉えているかというと、それは静観の一言につきるのではないでしょうか。
今までも何度か、延伸における総事業費や、あるいはそれによる事業採算性について、シュミレートしてきました。
これによると総事業費は当初の見込みの1.5倍の600億円、また費用便益比という、いわゆる採算性については極めて低い数値にとどまっております。

利用客を獲得するためには

一言で言えば、「乗客者数がなんぼ」、という世界ですので、利用客を獲得するためには、
①住宅
②働き場
③商業スペース
④観光スポット
等を計画的に誘致していくに尽きるでしょう。

今夏オープンした、湘南台の手前の「相鉄ゆめが丘駅」周辺「ソラトス」の完成を見るまで、区画整理事業含め40年以上の歳月を待たなければならなかったことは周知の事実です。
ここでも人口フレームに沿った街づくりと採算性が不可欠でしたので、当初計画の大幅変更が余儀なくされたのでした。

新幹線・倉見新駅の実現可能性とリンクさせる必要があるのではないか

私はここで延伸計画を否定している者ではありません。
むしろその実現性を推進したい立場から申し上げると、新幹線・倉見新駅の実現可能性とリンクさせる必要があるのではないかと思います。今では、くすぶっていた新幹線駅誘致の話が、2037年に向けて水面下で相当動いている様子です。
ご案内の通り、2037年はリニア新幹線が開通する年。「のぞみ」の機能がリニアに移行してしまうと、従来の東海道新幹線の活用につき、「ひかり」や「こだま」を重視した輸送形態にせざるを得なくなります。
それを見越して、既に倉見駅周辺開発に向けて民間企業が、本格的に動き出したとのこと。

将来ビジョンをもっと具体的に分かりやすく

延伸といった相鉄だけで到底抱えきれない事業について、他の民間資本をどのような形で参画を求め、実際に投資してもらえるのか。
このスキームを早期に作っていくための将来ビジョンをもっと具体的に分かりやすく、提示することを強く市側に求めていきたいと思います。やはり今も昔も、行政の本気度が試されることになるでしょう。

水戸まさし

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