課題多し!公的医療保険制度

令和6年

〜悪化し続ける「国保・健保・後期高齢者医療」の関係~

◆公的医療保険の概要から

遡ること1961年、国民皆保険制度のスタートの年です。以来、所得や地域に差がなく公平な医療サービスや
薬剤の提供を受けることが可能になりました。北欧のように、個人負担の少ない代わりに限定的な医療サービスしかないことに比べ、比較的充実している日本の医療制度は国際的に高い評価を得ております。
図1の通り、公的医療保険は①夜用者保険、②国民健康保険(以下、国保と言う)、③後期高齢者医療保険の3つに分かれます。しかし、少子高齢化の進展による医療費の自己負担の割合は増大しつつあるのも事実です。
(図2を参照)

図2)年齢による医療費の自己(窓口)負担

◆国民健康保険料はなぜ高い!?

図1で示した①と②における両者の相違の大きな点を挙げると、①の保険料負担は労使折半であり、②は全額自己負担であること。また①は扶養者の数は保険料に加算されないにもかかわらず、②は扶養の数が保険料に加算されること等です。
また、①に加入していた現役世代の人が、リタイア後に②に加入することになりますので、飛躍的に保険料負担が重くなります。

◆大丈夫?マイナ保険証へ移行

2023年10月、全ての病院、薬局でマイナ保険証を利用するためのシステム導入が義務付けられました。マイナ保険証に関するトラブル続きがあるものの、今年の12月2日から、健康保険証が廃止されて全面的にマイナ保険証に移行されることになります。
(マイナンバーカード不所持の人には5年間有効の資格確認書を発行)

◆後期高齢者医療保険への不満

2008年に75歳以上を国保から切り離した後期高齢者医療制度が創設されました。75歳以上の全体に掛かる医療費の1割を保険料で負担し、残りの5割は税金(右上グラフも参照)、そして4割は現役世代の支援金を充当するというフレームです。ただ75歳以降は個人個人で医療保険に加入する必要があるので、それまで扶養されていた家族たちは、個々に保険料を払うことになります。したがって家族全体の保険料負担が増えまので、支援策は急務でしょう。

◆医療保険制度の抱える課題

2025年以降、団塊の世代が75歳を迎えるので、医療保険全体の財政悪化が懸念されます。今後解決すべきいテーマをいくつが挙げてみました。

テーマ ①国保運営を都道府県に移管

現状、国保の運営は市町村によって行われていますが、保険料には相当格差があります。県が運営主体となり、県内の保険料を平準化し安定的に運用できるようにすべきです。そして同時に市町村の果たす保健活動の均一化を図っていかねばなりません。

テーマ ②医療保険制度の一元化

被用者保険と国保の保険料や、世代間の負担割合の格差が増大しています。一元化を図るため、両者の保険料負担の前提となる所得の把握や、事業主負担の扱い方につき、整合性を図る施策が必要です。

テーマ ③こども子育て支援金のあり方

そもそも医療保険は疾病に対するリスクの備えるための社会保険です。育児に対して医療保険料を充当する必然性が見当たりません。支援をするというならば、「子ども子育て債」を発行し、将来にわたって償還すべきでしょう。

 

TOP