私たち自身に向けられた課題とは何か…?
正月元旦、一家団欒の最中に
記憶に生々しい元旦午後4時10分。数多くの住民が新年を祝い家庭でくつろいでいる最中、不幸にも能登半島北部にマグニチュード7.6、最大震度7.0の地震が起こりました。雪の季節、遮断された道路、災害廃棄物の散乱等、様々な障害があって今なお復旧が進まない状態です。
先ずは人命が最優先ですので、2次、3次の被害に繋がらないよう、仮設住宅の設置をはじめ被災者の生活面で万全を期していかねばなりません。
しかし、これは決して他人事ではなく、遅かれ早かれ、私たちにも降りかかってきます。能登半島地震は私たちに何を投げかけているのか…、今一度検証を加えていきたいと思います。
避難所の体制は万全か?
ご案内の通り、災害対策基本法に基づき、市町村において指定避難所を設置しております。現時点では、藤沢において127箇所、寒川において26箇です。今までも、被災者の待遇改善が後回しにされることがしばしばありました。
「TKB48」という言葉をご存知でしょうか。これはトイレ・キッチン・ベッドを48時間以内に避難所に整備することを意味します。この「TKB48」は災害関連死を防ぐうえでも不可欠なテーマです。
例えばトイレ。今なお仮設トイレの7割は和式です。確かに和式トイレの7割は和式です。確かに和式トイレの方が構造上、丈夫で運搬しやすいのですが、やはり日常生活に沿うならば洋式にすべきでしょう。また断水時でも使える「マンホールトイレ」の活用を大幅に増やしていくことも求められます。
また、早期に届く救援物資は大変有難いのですが、なるべくならば、出来立ての暖かい食事を!…そのためのキッチンカーを取り揃えておくべきです。
そして、床に直接、毛布やシーツを敷いて横になると、ほこりやウィルスを吸い込みやすくなります。今まさに感染症拡大が懸念されているので、床から30㎝の高さのベッドが必要です。そのための段ボールベッドですが、今回の地震でも調達に随分時間が掛かりました。
遠隔医療の重要性
既にオンライン診療については、初診の段階で保険が適用されます。日常的に取り扱っているならば、ケガや療養中の被災者への診療やケアは、避難場所でも可能です。
そのためには速やかに通信障害を解消させ、通信端末や担当者を配置する必要があります。平時から、周辺地域の医療機関と連携を取り、不測の事態にどう対処できるか想定し、実施訓練を重ねていかねばなりません。
救急医療体制の不備
神奈川県内の災害拠点病院は35か所、その中に藤沢市民病院や茅ヶ崎市立病院もあります。しかし発生6時間以内に医者が集まれる割合は首都圏平均で36%、看護師は45%に留まります。
また要救助者の生存率が急激に下がる72時間以内でも、医師で73%、看護師で78%程度とのこと。限られた人員で、倒壊や火災で搬送された患者をどう受け入れられるか、今の段階から具体化していくべきでしょう。
阪神淡路大震災の教訓
阪神淡路大震災以降、各地域に「災害中間支援組織」が立ち上がりました。災害時における全国からの支援を、機能的にコントロールする役割を担います。
しかし平時は活動機会が少なく、県や自治体との情報共有も不足しているのが現状。また屋根のブルーシート張り、重機を使った災害ゴミの撤去、避難所運営のノウハウを持つ民間団体等をどう配置したら良いか、やはり中間組織における人材育成は急務の課題です。
何より被災者のニーズ(心のケア、住宅支援も含め)に応じて、民間組織とタイアップできる仕組み作りは、今まで以上に求められております。