~家庭ゴミ袋の有料化に否定的な自治体も多数あり~
ゴミ袋の有料化に関する効果
最近の調査によりますと、全国の各自治体で家庭ゴミの有料化を実地している市町村は半数以上に達しております。
ただし、これは地域によって導入率に差があり、例えば北海道では95%以上の実施率ですが、他方、東北エリアでは33%程度にとどまっております。レジ袋のみならず、さらに家庭から出る一般ゴミを有料化することによって、市民に対してゴミ処理のコスト意識を持たせ、分別やリサイクルを促し、ゴミ出しの量が多い家庭が多く負担するというシステムで公平性を担保する目的で進められております。
また同時に、これが減量化に繋がれば、行政の財政的な負担減と共に、ゴミ袋料金の収入増になるので、自治体としては一挙両得と言えるかも知れません。至れり尽くせりの有料化とも言えなくないはずですが、未だ消極的な自治体も半数近くあるのは何故でしょうか?
ゴミ袋の有料化に対する住民意識調査について
私たちが日々排出するゴミ袋を有料化することは、直接的な家庭の負担増につながります。
実際、今までもとりわけ都市圏の住民意識のモニター調査からして、導入に対する反対や慎重意見が多いのも事実です。
神奈川県内でも、33自治体のうち実施自治体は藤沢市をはじめ7自治体のみで、その他、導入予定なしは16自治体、検討中は10自治体という状況となっております。
前述したように、有料化に伴う効果が期待できるならば、どの自治体も速やかに実施すべきでしょうが、及び腰になる理由はどこにあるのでしょう・・・。
ゴミ袋の有料化に対する消極的な考え方として
そもそもゴミ処理コストは誰(どこ)が負担すべきか・・・。
各市町村によっての捉え方はまちまちでして、他方、市民側からしても「既に税金を納めているのに、さらにゴミ袋代を払うのは納得できない」「ゴミ収集は行政サービスの一環だ」という意見が根強くあります。
また制度が結構複雑で分かりにくく、周知不足が原因で、余計な混乱や誤解を招く恐れ生ずるといった指摘もあります。
そして、袋代を負担したくない、あるいはルールがわかりづらいことから、不法投棄や他の地域へのゴミ移転が増えるのでは、という懸念も生じてきます
さらに、果たして有料化がゴミの減量化につながっていくのかという疑問点もあります。
実際、ゴミ袋の有料化を導入した際には減量化につながっていたものの、数年経過した段階でリバウンドしてしまって元に戻ってしまった自治体事例も報告されているくらいです。
導入しない自治体の取り組みとしては、有料化よりも、先ず市民に対するゴミ減量や分別の現状を示して自発的な協力を求めたり、焼却処理方法の見直しや施設の適正化を進めたりする事例が散見されます。
また有料化制度の導入ありきではなく、何より教育的なアプローチを優先していくべきという考え方に重きを置く自治体が数多くあります。
ゴミ袋の有料化に対する一考察として
以上申し述べました通り、有料化に関する一長一短はあると思われます。
確かに導入済みの自治体の中には、有料化の制度によってゴミの減量化が進み、全体的にゴミ処理コストを減らせたという結果報告も多くあります。これはこれで良しとすべきでしょうが、今後とも有料化を実施していくならば、留意しなければならない点も多々あります。
今まさに行政運営の透明化が問われている時代です。
ゴミ処理コストについて「見える化」し、ゴミ袋代との関連性を明確化するのは前提でしょう。
何より、有料化の制度設計を進めていく段階で、家庭の負担を抑えつつ、減量化を進める道筋をしっかり示していく必要もあります。家庭の負担が少なくとも、減量効果が大きいケースもありますし、一方、高額負担でも効果が出にくい自治体事例もありますので、地域性も加味しながら設計段階において慎重を期すべきです。
また、低所得者層への配慮はマストでしょう。
生活保護世帯や年金生活者、あるいは子育て世帯、ひとり親世帯、さらに紙おむつを使用する高齢世帯など、ゴミ袋代は相対的に重い負担になります。減免制度を幅広く導入することで、不公平感を減らし、地域の理解と協力を求めていかなければならないと思います。
何より家庭負担をゼロにして、減量化を促進し、ひいては全体的なゴミ処理コストを下げるベストな方策を求めていうべきでしょう。
元衆議院・参議院議員:水戸 まさし