ケア格差の要因は関係性の差

地域問題

ケアを一人任せにしない構造へ

ケアを支え合う社会への転換

ケア格差とは、本来社会で支えるべきケアの負担が、特定の個人や家庭に偏ることで生じる問題です。
こうした偏りが、支える側の疲弊やケアの質の低下を招き、それが例えばネグレクトや虐待、あるいは老々介護による行き詰まり、ということに発展していきます。

したがって今求められるのは、ケアを一人に任せるのではなく、状況を社会全体で共有し、役割を分かち合いながら支え合う仕組みへの転換ではないでしょうか。
そしてその上で、リスクの早期把握と介入、孤立の防止を進めながら、同時に、支援の担い手の質的な向上も図っていくことが不可欠と思えます。

以下、取り上げる取り組みは、こうした認識の下に、

① ネグレクトや虐待の未然防止
② 老々介護の見過ごし防止
③ 支える側の力を高めること

を柱に据えて、誰もが安心して支え合える社会の実現を目指そうというものです。

子どもSOSキャッチ戦略を!

虐待やネグレクト(育児放棄・怠慢)は、特別な家庭に起こるものではありません。
言えば、どの家庭にも起こり得る極めて現実的なリスクです。
だからこそ「見えないまま進行させてはいけない」」ことをモットーに、

POINT① 見つける
② つながる
③ 改善させる

この3つを実行して必要があります。

まず何より早期発見です。
周囲の噂や現場の感覚に頼るのではなく、「支援が必要と思えるような家庭」を抽出することから始めます。
具体的には行政内部で、

POINT① 乳幼児健診の未受診
② 予防接種の未実施
③ 保育園や学校の長期欠席
④ 公共料金の滞納
⑤ 児童相談所への接触履歴

などについて、横断的に統合して「リスクスコア」として表示します。

該当する家庭に対しては、必ずアプローチする手段を採ります。
場合によっては、学校、保育、地域、民生委員とも連携し、包囲型で接触を試みるのも良いでしょう。
その家庭と繋がったら、3か月間の集中介入プログラムに沿って、必要に応じた改善支援策を設定し、実施してもらいます。
要は寄り添うということよりも、「改善させる」ことに重きを置いてアプローチすることです。

仮に接触や支援を拒否する家庭がある場合でも、「完全な放置」をしないことを原則としつつ、必要があれば児童相談所とも連携し、一時保護を含めた強い措置も視野に入れていかねばなりません。
支援は結果が全てですので、改善を定量的に評価しながら、仮に改善が見られない場合は支援の強度を引き上げていくべきでしょう。

介護崩壊・ゼロ作戦の展開

今や社会問題化している「老々介護」。
この問題は、そこへの支援が足りないのではなく、支援が現実に追いついていないのが実態ではないでしょうか。
予想される限界を超えってしまったときに、取り返しのつかない悲劇へと至ってしまいます。
ですからこの限界を見逃さない仕組みを作っていかねばなりません。

そのための第一歩として、介護する側のリスクを可視化することです。
各世帯の状況把握はもちろんのこと、

Tips① サービスの未利用
② 利用頻度の低下
③ 短期間での状況変化

などから、介護者の疲弊度を推定します。
そして次に、介護者への定期的な接触する機会を設定し、その場で

Tips① 短期利用サービス
② 家事・配食支援
③ 介護休息

を組み合わせた、負担全体の軽減メニューを提示します。
そもそも支援の目的は制度に繋ぐことだけではありません。

何より1人で抱えない状態を定着させることですので、地域の触れ合いの場や、人との交流の機会といった繋がりを回復させてはじめて、再発防止になり得ます。

支える力の是正と見える化

ケア格差は、支える側の質によって拡大も縮小もすると言っても過言でないでしょう。
現在、藤沢市は13地区を基盤としながら、地域包括支援センター(いききサポートセンター)が19か所整備されております。
各所に大きく4つの役割を担わせつつ、専門職を配置させ、地域ケアの司令塔としての機能を持たせております。
ただ残念ながら、精力的に取り組んでいるとは言うものの、地域ごとに対応の深さやスピードに差が生じてしまっているようです。

そこでテーマとして挙げるべきなのは、地域による支援の質の差を解消し、市全体のケア水準を引き上げることではないでしょうか。
そのためには、まず質を測る基準線を明確にします。
評価基準は極めてシンプルで、

① 初動対応までの時間
② 訪問・接触頻度
③ 利用満足度
④ 継続性

などを共通指標として、地域ごとの実績を可視化させるのです。
次に、それに基づきチェック表で確認することですが、ケースごとに各センターにおける、例えば

POINT① 初回の対応時間
② 必要な支援策
③ 記録の保持
④ 各部署との役割分担
⑤ 説明責任

などについて、シンプルに〇×を付して点検してみるのはどうでしょうか。
そしてそれを踏まえて、改善点が

POINT① 人材面に課題がある場合
② 業務面に課題ある場合
③ 連携体制に課題

がある場合の3つに分類しながら、それらへの対応方針を出します。
具体的な対応策としては、

Tips① 研修の充実や専門人材の重点配置を行う
② 業務フローの標準化やICTの活用を進める
③ 福祉・教育・医療等の関係部署による合同チームを編成

改善が定着するまで試行錯誤を繰り返すことが肝要です。

元衆議院・参議院議員:水戸 まさし

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