自然との共生を進める
資源の少ない日本にとって貴重な自然環境を守り、共に生きる社会を形成します。
プラごみ減量化
待ったなし、プラごみ減量化
ご案内の通り、プラスチックは石油から作られ、その生産から廃棄に至るまでに発生する二酸化炭素は、地球温暖化の原因となります。またこれを海外に流すと簡単には分解ぜず、海洋汚染を引き起こします。世界では、何と年間数百万トンのプラゴミが海に流入しているとされ、自然界の生態系への影響が懸念されている昨今です。
我が国の廃プラの排出量は、850万トン前後で推移しておりますが、このうち家庭内から出る一般系は約400万トンとされ、包装や容器の消費量の増加が、そのまま排出量の増加につながっております。現状、廃プラをリサイクルなどで有効利用した割合は85%とされているものの、その半分以上は焼却して熱を回収する「サーマルリサイクル」で、本当のリサイクルとは言えません。
何とか自然環境を守り、プラゴミを削減し資源として循環させるため、製品の設計から販売、廃棄、リサイクルまで、段階に応じた対策が法制化されました。その法律には、プラ製レジ袋の有料化を皮切りに、コンビニなどの店頭で無料配布されているプラ製のスプーンやフォークの有料化も盛り込まれております。
政府が掲げる「2030年までに使い捨てプラ25%削減」目標に向け、プラ容器等もリサイクルできるような循環型社会を作っていくしか手がありません。
森林保全の法制定
最近、山から下りてきた野生のクマやサル、あるいはシカなどが社会問題視されるようになりました。その原因は、森林開発が進み(時折、山火事も発生)、そこで生殖している動物たちの行き場が失われたからです。今ある私たちが、将来この国に生きる世代のためにも、豊かな自然を残し、あらゆる生物と共存する社会を再構築していかねばなりません。
そのために見習うべきお手本は、英国の「ナショナル・トラスト法」です。「ナショナル・トラスト」とは、国民による信託を意味し、トラスト地は国民が信頼して預ける財産を意味します。英国では、トラスト地に指定されれば、永久に手付かずのままに守ることが出来ます。また、当該トラスト地は税金が掛からず、土地を移譲することや寄付に対しても、税金の控除が受けられます。そのため、市民・国民の信頼も厚く、「永久に守られるならば自分の土地を託そう」、「自分の財産を未来へ残すためにトラスト財団に寄付したい」などと、多くの寄付が集まるようです。
今残されている森を守り、これ以上自然を破壊させないためにも、貴重な土地が簡単に収用されないよう、「日本版ナショナル・トラスト法」の制定を目指すべきです。私も神奈川県のトラスト財団の会員ですが、まさに市民の力こそが自然を守る原動力として、国に粘り強く働きかけていきます。
脱炭素と農業
現状、世界で排出される温暖化ガスのおよそ4分の1は、農業分野によるものです。畑などに散布した化学肥料により、農耕地からは一酸化二窒素が発生しますが、それによる温暖化への影響度は二酸化炭素のおよそ300倍と言われております。したがって、今後の農業は、化学肥料や農薬を使わない有機農業へと転換させ、脱炭素を進めていかねばなりません。
既にEU(欧州連合)は、こうした事態を鑑み2030年までに、有機農業の面積割合を全体の25%に増やす目標値を掲げました。環境配慮型の農家に対しては、その所得支援に約50兆円規模の予算を充てるといいます。既に日本も「みどりの食料システム戦略」で、有機農業農地の割合を2050年までに25%に増やす目標を打ち立てているものの、国内農業の大半は農薬や化学農法を利用中で、現状、有機農業が農地に占める割合は1%程度です。
今後、日本の農業方針として、単発的な補助金政策に拠ることなく、農業の担い手にとって、有機農業に対する投資や経営戦略を立てやすくなるよう、その環境整備に努める必要があります。さらにこれからの世界の潮流として、有機農業で作られた農産物を優先的に購入していこうという機運が高まってくるものと思われますので、食料安全保障に資するためにも、環境配慮型農業への転換を図る必要があります。